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2006.12.08 (Fri)

『タンゴ・冬の終わりに』を観て

というわけで、多分今年最後の観劇レビューです。
で、個人的には消化不良のようで・・・開演3分前着席がまずかった?(苦笑)

お話は・・・
清村盛(堤真一)は有名な俳優だったが、三年前の舞台『オセロー』で突然の引退発表。生まれ故郷の日本海に面した港町で、今は弟・重夫(高橋洋)が守っている映画館「北国シネマ」に、妻・ぎん(秋山菜津子)とひっそりと暮らしている。そんな盛の前に、かつての俳優仲間で恋人だった名和水尾(常盤貴子)と、彼女を追ってきた夫・連(段田安則)が現れる。水尾は突然自分の前から姿を消した盛に思いを残していた。「盛から会いたいという手紙をもらったから来た」という水尾。しかし水尾の前に現れたのは、すっかり狂気に取り付かれ過去と現在を漂う盛の姿だった。

演出・蜷川幸雄、脚本・清水邦夫、初演1984年(盛役が平幹二朗、水尾役が名取裕子)その後2度の再演を重ねた不朽の名作、らしいです。「そうなのか・・そうなんだ・・・」というのが私の感想(笑)
オープニングは舞台が映画館の客席の設定で、私のいる客席がスクリーンとなってます。その舞台上の客席で大勢(約80名)の観客役がスクリーン(実際の客席)に向かって笑い、泣き、叫んでいるという演出。ちなみに上映されているのは『イージーライダー』
蜷川作品のオープニングって視覚に訴えかけるセットの全容がバン!と見えて一気に芝居の中へ引き込まれるところがあるのですが、何だか今回はインパクトありすぎというか(苦笑)引きこまれるよりも、こっちが引いちゃいました(^^;)だって私には熱すぎて・・・というか、映画にしろ舞台にしろ70年代の学生運動がバックボーンにある設定には、どうも「知らないものの弱み」じゃないですが勝手に疎外感を感じてしまいスッと話に入り込めないところがあるんですよね。もったいないことですが・・・
劇中の言葉はとても綺麗です。「声に出して読みたい日本語」じゃないですが、詩的で久しぶりに心地よいセリフを聞きました。今の時代の売れっ子作家の書くセリフとは全然違う。この点は感心致しました。って私だれ(笑)

正気と狂気の境目が段々と曖昧になり、今やぎんを入水自殺した「姉さん」と呼ぶ盛。妻でなくてもいい、母だって姉だっていい、ただ盛の側にいたい。そんな思いのぎんは、もはや夫婦というより同士に近い感情で盛を見守っていたんでしょう。
このあたりのやり取り、堤っちのそれこそ「少年のような無邪気な笑顔(もう、仔犬のような可愛さです!)」と秋山さんの全てを受け入れて盛を包み込もうとする愛情表現は、見ていて心の琴糸に触れる位のものでした。そうそう、盛の意識が正常な時は2人の間で「おっ!(ほっ、かもしれない ^^;)」と軽く手を上げての挨拶というか合図みたいな動作があるのですが、ぎんが「おっ!」と声をかけても盛は段々と反応しなくなる。確実に盛の精神は病んでいっている。どんなに頑張っても盛はどんどん自分から遠ざかっていく。胸を突く現実をこの小さな動作と一言のセリフで表現する秋山さんはスゴイです。

狂気に取り付かれていく盛がボロボロの座布団を「孔雀だ」と言えばぎんは「そうね、孔雀ね」と言う。対して水尾は突然目の前からいなくなって、何とか忘れようと思い、連との時間を積み重ねてきたけれどやっぱり忘れられなくて・・・自分を忘れている盛を憎みたい。けれど会ってもう一度盛を愛し始めた水尾は「孔雀なんかじゃない、それはただのボロ座布団よ!」と言ってしまう。どちらも盛を愛するが故の言葉。結局最後はこの言葉が引き金になって水尾は盛に、盛は連に殺められてしまいます。どちらの返事が正しかったのか・・・

ラスト近くで盛と水尾がタンゴを踊るシーンがあります。タンゴって歯切れのいいリズムで踊るイメージ、官能的なイメージがあったのですね。なんですが・・・何だか「タンゴ」というより「ふぁんご」みたいな(苦笑)踊りに切れがないというかなんというか・・・すこくキレイだったんですよ、2人のダンスシーン。ホント堤っち&常盤貴子というビジュアルOKの2人なだけに惜しいっ!すっごく綺麗!なら「踊れるのか?」といわれても踊れませんけど(^^;)この後、堤っちが1人でタンゴを踊る場面もあるのですが、そちらは1人なだけにあまり違和感もなくOKかと(笑)

今回の舞台、堤っちが一番のお目当てであったのと同時に、常盤貴子嬢もお目当てだったんですよね、実は。ドラマや映画で見る彼女の(役柄のせいもあるでしょうが)パキパキとした芯の強い女性のイメージが好きなのですが、舞台だとどうかなぁと。「入り口に目を向けると大輪の華のような若く美しい女性が立っている」と、そんなト書きが見えるような水尾の登場場面。スポットライトの中、白いファーコートに身を包み、そこに立っているだけで一瞬に視線を集めました。ザ・女優(笑)確かに共演者に比べて、圧倒的に舞台経験も少なく、発声にしても立ち振る舞いにしてもまだまだだと正直感じました。けれど線の細い儚げなタイプの女優さんはいるけど、ある程度の質感(細い太いではないです ^^;)があって華のあるタイプの女優さんって貴重だと思うので、彼女には今後とも舞台にチャレンジしていって欲しいですね。

そして堤っち!役者には「当たり役」といわれるものがあります。こういう言い方はヘンだと思うのですが、作品にはスッと入り込めなかったくせに(^^;)この「清村盛」は彼の舞台での当たり役になるんじゃないかな、とフト思いました。根拠?勘!(笑)
無垢な少年の表情や精神を病んでいく過程での不確かな表情。もう一度水尾を愛し始め(と思ったのですが・・・)2人でタンゴを踊る時の表情。くぅぅ、いいですねぇ~。そうそう、すごくしょうもない事ですが、今回は現代劇でもあったのでいわゆる衣装がタートル&スーツ、スーツin白シャツ(笑)もう完璧好みのスタイルです(^^)v

何だかんだと書き散らかしましたが、BGMにパッヘルベルの「カノン」が流れる上質の舞台でした。

                2006.11 シアターコクーンにて
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