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2006.03.04 (Sat)

『贋作・罪と罰』を観て

「理想の為には罪を犯しても許されるのか」

野田MAP第11回公演『贋作・罪と罰』はロシアの文豪ドストエフスキーの「罪と罰」をベースにした再演物です。
ウチの本棚に文庫本の上下巻がありますが、最後まで読んでません。てか、多分上巻すら読みきれてないかと(苦笑)こんな人は他にもいるはず・・・(^^;)

お話は・・・
時は幕末。江戸開成所の女塾生・三条英(サンジョウ ハナブサ@松たか子)は「人間はすべて凡人と非凡人との二つに分かれ、非凡人はその行動によって歴史に新しい時代をもたらす。それによって人類の幸福に貢献するのだから、既成の道徳法律を踏み越える権利がある」という確固たる理想のもと、金貸しの老婆(野田秀樹)を殺害し金品を奪う。が、偶然その場に居合わせた老婆の妹までも手にかけてしまう。事件が発覚し、捜査官の都司之助(段田安則)は英に疑惑の目を向ける。殺すつもりの無かった妹を殺した事により思想(理想)が少しづつ揺れていく英は都の執拗に繰り返される心理戦を懸命に凌ごうとする。そんな英の異変に気づき案ずる才谷梅太郎(実は坂本竜馬@古田新太)。
「罪」を巡る英と都。「目的は手段を浄化するのか」という問いを巡る英と才谷。折りしも尊王倒幕の機運高まる江戸で民衆の「ええじゃないか」が沸き起こり、彼らの巻き込み時代はうねりを増してゆく。果たして英の理想の彼方は何処にあるのか。

初演は95年。英(大竹しのぶ)都(生瀬勝久)才谷(筧利夫)のキャストでやってました。実は初演も観てまして、でもその時の話の感想ってあんまり憶えてない(苦笑)一番憶えてるのが「音だし」。今回もそうなんですが、主要人物以外は全員がダブルトリプルキャストで演じ(レミゼ仕様)、おまけに効果音(ドアを叩く音とか)を役者それぞれが「そろばん」や「ペットボトル」を使って出します。ついでに言えば全員が出ずっぱりです。出番の無いときは舞台を囲んだ椅子に座って「音だし」に集中!最前列だったので1メートル位先に松たか子や野田秀樹がたまにいる(笑)

今回は舞台の前後を客席が囲むという配置だったのですが、これがいいのか悪いのかとても微妙。私は通常でいえばバックステージ側の客席だったのですが、やはり背を向けてしゃべられるとセリフを聞き取りずらい。特に溜水役の宇梶剛士さんは調整に失敗したのかどうなのか、喉を潰していたようでおまけに筈舌も悪くて、正直80%意味不明(苦笑)。ただ1人、多分全方向OKだったかと思われるのは段田さん。ものすごく聞き取りやすくて感心。そして芝居も安定感抜群。やはり合うのでしょうか遊眠社仲間だと(^^)
主役の松さん。彼女の凛とした立ち姿は見ていて清々しいものを感じます。この英という女だけど理想を追い求めて一直線に突き進む英のイメージには合っていると思っていました。が、どうもセリフがつくと・・・ん~???1本調子でホント一直線(^^;)一生懸命さは分かるのですが・・・ん~。と、エラソーです(笑)

英は理想の為なら人を殺めることをも正当化できるという思想の元に行動します。けれど、結局想定外の人物(老婆の妹)をも殺めてしまったことで心の中に「罪」が膨らみ、やがてその「罪」が英を押しつぶしてしまう。才谷は少なからず英を気にかけています。恋心ともいえるでしょうが、なんていうか「こいつの心からの笑顔が見たい」とかそんな感じ?相変わらず古田さん、アドリブを混ぜつついい仕事してます(^^)
「血を流すより金を流したほうがいい」才谷(坂本竜馬)は聞き入れてもらえないと分かっていても、英に言います。新しい時代の足音を感じながら、まったく違う方法でしかその時代に立ち向かえない二人を思うと、出会った時代が違ったならと無意味な事を考えてしまいます。
ラスト、英は才谷に言われて大川の風に吹かれ、大地にひざまずき接吻し、そして牢へと向かいます。いつの日か「彼のいる方向・・彼方」へ真っ直ぐに向かっていけるよう思いを胸にして。

初演時はちょうど阪神淡路大震災やオウム真理教の一連の事件があった為に現実が芝居の中に必要以上に入り込み「演劇作品としての評価がなされなかった」と、何処かの記事で読んだ記憶があります。特にオウムはまさしく英の理想を実行した感があったから・・・
演劇にしろ映画にしろ、何処かしらその時代の匂いや色を取り込んでいるものだとするなら、今回の再演も今のこの時代が薄ぼんやりと映りこんでいるような気がします。
「理想」を追い求める事が難しく「金」が堂々と流れていく今、私達はどんな時代を求めているのでしょうか。答えは簡単には出そうにありません。
              (2005.2、シアターBRAVA!にて)
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